水上栽培環境について

クリプトは主に熱帯雨林地域に分布しており、現地は多湿な環境である為、
栽培下でもそのような環境を作ってあげなければなりません。
ここでは現在の我が家でのクリプト栽培環境について紹介していきます。

まず栽培用土のページでも触れていますが、一口にクリプトと言ってもその自生地環境は多岐に亘ります。
その為、栽培環境もその種類に合った環境を用意してあげなければなりません。
しかしながら、現在知られているだけでも70種類にも及ぶクリプトコリネ。
一種類ずつの栽培環境を用意していたら、部屋中ケースだらけになってしまいます(苦笑)
なので、用土と同じく、大まかに低PH系クリプト用と中性〜弱アルカリ性クリプト用の2タイプの栽培環境を用意します。
この2タイプの栽培環境を用意出来れば、大抵のクリプトコリネは育ってくれるでしょう。

 低PH系クリプト用環境

まずはケースを用意します。
小さなケースでも良いのですが、若干外気温等の影響を受けやすいようですので、
一番使いやすいサイズは60cmレギュラー水槽程度の大きさでしょうか。
もちろん水槽でなくとも、例えば発泡スチロール箱や衣装ケースなど、要は水が漏れなければなんでもOKです。
ただし、高さはある程度あったほうが良いでしょう。
クリプトの花は3cm程度の小さな種類もありますが、30cm程度にまで伸びる種類もある為、あまり高さの無いケースだと天井につかえて折れ曲がってしまう事もあるので、30cm以上の高さは欲しいところです。

ケースを用意したら、まずは底面にピートを敷き詰めます。
自分は、長繊維ピートを台所用のネットに詰めて、厚さ1.5cmほどで全面に敷き詰めています。
これは腰水を酸性に保つのと同時にピートに含まれる有機酸などがクリプトに対して良い影響があるように感じる為に行なっていることです。敷き詰める前に軽く流水で微塵を洗い流しますが、アク抜き等は特にしていません。
ケース全面にネット入りピートを敷き詰めたら、その上に百均で購入したネコ避けマットを乗せます。
ネコ避けマットは予めケースの大きさに合わせてカットしておいたものです。

ネコ避けマットを敷いたところ。実際にはこの下にネット入りピートを敷き詰める。
ここまでセットしたら水を張るのですが、入れる水は、すぐにクリプトを導入しないのであれば中和した水道水でも問題ありません。1週間ほどでピートから成分が溶け出し、濃いブラックウォーターになるはずですので、その後クリプトを収容しましょう。
すぐにクリプトを導入したい場合は予めバケツ等でピート水を用意しておき、それを使用しましょう。
状態の良い水草水槽があるのなら、その水を使用するのも良いでしょう。
水の量は、ネコ避けマットの上に鉢を置いた時に鉢底から1cm程度浸かる程度の量に調節します。
腰水にはエアレーションを施します。
(ネコ避けマットの設置はこのエアレーションが出来るだけの水量確保の為でもあります)
エアレーションには、ケース内の湿度上昇、空気の循環、水面のカビ抑制等の効果があります。
クリプトは夏場に調子を崩すことが多いので高温に弱いイメージを持っている方もいるかと思いますが、実際には高温に対して思っているほど弱くはありません。高温多湿によって起こる「蒸れ」に弱いのです。ですから、蒸れが起こらないように空気の循環をさせるのは夏場を乗り切る一つの方法だと思います。
逆に冬場は腰水にヒーターをセットして腰水の温度を上げるのも生長を促進させるのに良い方法です。
我が家はマンションで機密性が高く、真冬でも他の水槽から発する熱も手伝ってそれほど部屋の温度が下がらないので(その為夏場の高温が厳しいのですが(自爆))冬場のヒーターは使用していませんが、使用する場合は腰水の水位が低いので空焚きには十分注意して下さい。最近では空焚き防止機能付きのヒーターが各メーカーから販売されていますので、それらを使用したほうが良いでしょう。

クリプトを植え込んだ鉢をケースに収容したら、高湿度を維持する為に蓋をしましょう。
蓋は、ぴったりと合ったガラス蓋があればそれで良いのですが、ちょうど良いサイズの蓋が無い場合にはサランラップでも良いでしょう。ラップは念の為2重にしますが、安価なラップだと素材自体が薄く、たとえ2重にしても湿度維持が困難な場合もあるようですので、厚手のしっかりとした素材のラップを使用しましょう。

あとは照明をセットしておしまいです。
照明の量は60cm水槽で20W1灯を目安に、収容しているクリプトの調子を見ながら増減すると良いと思います。
クリプトは光量によっても草姿を変えるため、カッコよく育つ光量を各自探してみて下さい。
ただし、酸性系のクリプトは自生地環境も木々に囲まれた薄暗い場合が多いので、極端に強い光の下では萎縮してしまうこともあるので、気をつけましょう。不安な方は、やや暗すぎるかな?ぐらいの光量からスタートすれば失敗しないはずです。

湿度が出来るだけ一定に保たれ、蒸れに注意していれば、ゆっくりではありますが確実に生長していくことでしょう。

我が家の酸性系クリプト用ケースの一つ(セッティングは上記同様)

 中性〜弱アルカリ性クリプト用環境

使用するケースに関しては酸性系クリプト用と同じです。

酸性系と違うのは、ケース内には何も敷かないことです。
以前はネコ避けマットなどで嵩上げして水を張って栽培していましたが、腰水のPHを最初に中性付近に調整したとしても、時間の経過と共に徐々にPHが下がってきてしまい、長期に渡って安定した環境を維持するのが難しいと感じた為、現在は腰水を張っていません。しかしながら、これだとエアレーションは出来ず空気の循環も出来ない為、今後改善が必要だと思っています。
ネコ避けマットよりももう少し高さのあるものが見つかればそれを使用して、鉢に水が触れないようにし、エアレーションの為だけの腰水を張ったほうが良いでしょうね。

とりあえず現在はケース内には何も敷かずに、鉢植えしたクリプトを収容しています。
そして、湿度を維持するために5mmほど水を入れています。
あとは酸性系と同じく蓋をしておしまいです。

光量は、酸性系クリプトよりは高光量を好みますので、若干多めでも良いでしょう。
これは、中性系クリプトのほとんどが、やや開けたところに自生している為だと考えられます。
60cm水槽で20W2灯を目安に増減すれば良いと思います。

 共通して言えること

どちらの環境にも共通して言えるのは、高湿度を維持するのがポイントだということです。
中には低湿度に強い種類もありますが(キリアータなど)、基本的にどの種類も高湿度環境のほうが調子が良いので、目安として、湿度70%以下にならないように維持出来れば、失敗も少なくなると思います。
自分は夏場の蒸れを心配して徐々に湿度を落として栽培していた時期もありましたが、全体的に調子が落ちてしまった事がありますので・・・(爆)

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