水上栽培 「用土」について

水上でクリプトを栽培する上で一番頭を悩ますのが、この用土選びだと思います。
クリプトには主に、酸性環境に自生する種類と、中性〜弱アルカリ性環境に自生する種類がある為、大まかにこの2タイプの用土を使い分けなければいけません。
もちろん更に細かく、各種に合った用土を模索している方もいらっしゃるかと思いますが、自分はあまり複雑にすると面倒なのと(苦笑)、植え替え時に再度それまでと同じ配合用土を作り出す(再現性)のが困難だと考え、出来るだけシンプルに、2タイプに分けて使用しています。
ここでは、我が家のクリプト水上栽培で現在使用している2タイプの用土について書いていきたいと思います。
今まで色々な用土を試し、数多くの株を失いつつも(自爆)とりあえず落ち着いた現在の用土。
今後もより良い用土があれば変更していく可能性大ですが、ひとまずここでまとめてみたいと思います。


酸性用土について

自生地の水質が低PHの環境に自生する種類に使用している用土です。
土壌PHを下げるのと同時に、通水性も重視!ということで、次のような用土を使用しています。
容易するのは長繊維ピートと、アクアソイル(我が家ではアマゾニアを使用)の2種類のみ。

左:長繊維ピート 右:アクアソイル・アマゾニア
まずは、長繊維ピートを植木鉢にふんわり入れて、霧吹き等で全体を湿らせます。
そして、中央に穴を開けるように、鉢の内壁に指で押し付けていきます。
ピートの厚みはおよそ1cm弱になるはずです。
そうして開いた穴に株を入れます。

ピートに開けた穴に株を入れた状態
あとは株の周りの空いた隙間を埋めるようにアクアソイルを流し込んで植え付けはおしまいです。
上からたっぷりと水をあげて、用土を十分に湿らせると同時に微塵を流してから栽培ケースへ入れます。。

その後、ソイルを入れた状態
このあと、上から水を流してケースへ
最初はピートとソイルを均等に混ぜて使用しようとしたのですが、
あまりにも形状に違いがあるので思うように混ざってくれませんでした。
混ざらなければ、混ぜなきゃ良いじゃないっ!!ってことで考えたのがこの植え方です。(^^;
現在、コルダータ系やグリフィシー、プルプレア、ボルネオエンシス、フェルギネア等でこの用土を使用していますが、
どれも順調に生長しております。
一部、ピートスワンプ系でも今ひとつの種類もあるので、もう一工夫必要かもしれませんが、
大抵はこれで育つと考えています。
元肥としてマグアンプなどを使用しても良いのですが、アクアソイル(特にアマゾニア)には有機分がある程度含まれている為、何も入れなくてもしばらくは十分育ちます。
肥料不足が心配な場合は、根張り後に液肥で対処したほうが根焼けの心配が少ないかと思います。

中性〜弱アルカリ性用土について

酸性土壌よりも、中性〜弱アルカリ性土壌をキープするほうが難しく感じるのは自分だけでしょうか?
多くの場合、用土や腰水は時間の経過と共に徐々に酸化してきてしまうので、長期に渡って高めのPHを維持するのが困難だと思われます。
以前は桐生砂をメインに、赤玉土、培養土、ミリオンAを混ぜて用土を作って、それなりの成果もあったのですが、桐生砂を乾燥させて篩がけをしたり、それぞれの用土の比率を考えて混ぜたりが非常に面倒だったので(^^;もっと簡単で生長の良い用土はないものかと考えました。
酸性用土に比べて、まだまだ試行錯誤の必要大ではありますが、とりあえず現在試して、ある程度の結果が出ている用土をご紹介します。

まず使用するメイン用土の選択ですが、園芸用ですでにPH値が調整されているものを選択しました。
現在使っているのはハイポネックス培養土です。

ハイポネックス培養土
この培養土をメインに使っていますが、この用土、保水性は抜群なのですが、その分非常に通水性が悪い。(爆)
通常の鉢植え栽培では用土が乾く時間帯がある為、それほど問題はないのかもしれませんが、クリプト栽培では常に用土が湿った状態ですので余計に土が締まってしまうのか、非常に水はけの悪い状態になってしまいます。
そこで、この培養土に日向土の細目を3〜4割程度混ぜています。これだけでだいぶ通水性が良くなります。

日向土(細目)
さらに、時間の経過に伴う土壌の酸性化を見据えて、粒状苦土石灰を少量混ぜ込みます。
苦土石灰の量は植え込むクリプトの種類によって、自生地環境が弱アルカリの場合はやや多めに、弱酸性〜中性付近の場合は少量にしていますが、特に厳密に計っていないので適当です(笑)

粒状苦土石灰
鉢底には日向土細目を1cm弱敷き詰め、その後上記で作った用土を使い植え付けをします。
植え付け後は上から普通に水遣りをして、ケースに収容します。
栽培環境のページでも触れているように中性系ケースには腰水をほとんど使用していないのですが、ハイポネックス培養土の保水性のおかげでケースを密閉していれば用土が乾くことは滅多にありません。また、ハイポネックス培養土には元肥としてあらかじめマグアンプKが入っているので、特にそれ以外に肥料は入れていません。
初期の肥料過多による根焼けが心配な方もいるかもしれませんが、日向土を混ぜて使用している分培養土の量が少ないのも手伝ってか、今のところ目に見える症状は出ていないので大丈夫でしょう。
現在この用土で栽培中なのは、ウステリアーナやアポノゲチフォリア、べトナメンシス等ですが、それなりの生長を見せています。まだこの用土での栽培は始めたばかりなので、今後追って経過を紹介していければと思っています。

ミズゴケ栽培について

基本的には上記2種類の用土で勝負しますが、株の状態やサイズによってはミズゴケを使用することもあります。
入手時にやや水分が抜けてしまっている状態や、子株でまだ根茎が未発達の株は、
用土で栽培するとそのまま溶けてしまうことがあります。
そういった株の場合は、ある程度株が立ち上がるまではミズゴケで栽培した方が失敗が少ないでしょう。

ミズゴケ栽培中のC.minima
中性〜弱アルカリ性を好む種類に向いていないと思われがちなミズゴケですが、丸1日以上水に浸けて酸度を抜いたミズゴケであれば中性〜弱アルカリ性を好む種類であっても意外と育ってくれます。
植え付け方は水で戻したミズゴケをやや固めに搾って水分を適度に抜き、根を包んで鉢に詰めて終了です。
この時、あまりぎゅうぎゅうに詰めないように注意しましょう。株を摘んで軽く引っ張っても抜けなければOKです。
その後水分が足りないようであれば少しだけミズゴケに水を垂らしますが、ベチャベチャにならないように気を付けます。
あまり水分が多いと腐敗してしまいますので。同じ理由から、栽培ケース内でも腰水には浸けないようにします。時折ミズゴケを指で触って、乾き過ぎている場合にはスポイト等で少量の水を補給してあげましょう。
ミズゴケ栽培の場合、特に施肥の必要はありません。我が家ではある程度株の状態が立ち上がった時点で上記の用土に植え替えしてしまいますが、その後も長期に亘ってミズゴケで栽培する場合は、肥料を与えるよりも、植え替えと同時にミズゴケを新しいものに交換してしまった方が良いでしょう。

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